検査について
「子宮がん検診」とは、「子宮頸部がん検査」のことです。婦人科がんは、子宮頸部に発生する「子宮頸がん」、子宮体部に発生する「子宮体がん」、卵巣・卵管から発生する「卵巣・卵管がん」の3つのがんがメインとなります。子宮頸がんは性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)と関連しており、前がん病変を含めると25歳頃から増加し30~40歳でピークに達し60歳以降は減少します。一方子宮体がんはホルモン環境などと関連し、閉経後の50歳以上で増加します。同じ子宮がんであっても好発年齢が全く異なります。
また子宮頸がんは進行がんとなるまで無症状であるのに対して、子宮体がんは比較的早期から出血やおりものなどの症状を呈し早期発見が可能ながんであります。
(子宮がんについての詳細は 「女性のためのがん検診」のページ をご覧ください。)
卵巣・卵管がんは、良性腫瘍などから段階的にがん化するタイプと、突然がんを発生するタイプに分かれます。卵巣がんの約10%は遺伝的要因によるものと考えられます。卵巣がん・卵管がんについてはまだ検診として確立していません。超音波検査によって卵巣腫瘍(良性/悪性)の発見に繋がることもあります。
検診の準備
前日・当日共にありません。
検査の流れ
受付・問診が済みましたら、検査をします。
問診では、最終月経日または閉経時の年齢、妊娠・出産回数、既往歴、ホルモン治療の有無、HPVワクチンの接種歴、6ヶ月以内の不正出血の有無、アレルギーの有無、検診受診歴等をお聞きします。
- 子宮頸部細胞診(子宮頸がん検査)
- クスコと呼ばれる器具で腟を広げ、プラスチック製のブラシで子宮頸部を軽くこすって細胞採取します。個人差がありますが、痛みはほとんどありません。 内診などを含めて検査は数分で終わります。 取った細胞は、専門の細胞検査士が判定して、細胞診専門医が最終診断を行います。
- 超音波検査
- 希望者にのみオプション検査として行います。直径3センチ程度の太さの機械を腟から挿入し、子宮や卵巣を観察します。(1~2分で終了します)。この検査では子宮内膜症や内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮腺筋症などの婦人科疾患を確認できることもあり、産婦人科を受診しようか迷っている女性はぜひこの機会に受けることを奨めます。また検診としては確立していませんが子宮体がんや卵巣腫瘍(良性/悪性)の発見につながることもあります。
- 子宮体部細胞診(子宮体がん検査)
- 原則、検診を担当する婦人科医が必要と認めた方にのみ行います。子宮頸部細胞に引き続き、細いブラシを子宮の奥(体部)へ挿入し、細胞を採取します。軽度の痛みを伴います。子宮口が閉鎖していたり、頸管が狭かったりすると検査が出来ない事もあります。まれに感染を起こすことから、無症状や超音波検査などで子宮内膜に所見がない女性に検診として行うことは過剰な処置となり奨めません。
- ハイリスクHPV検査
- 欧米では標準化されている子宮頸がんに対するもう一つの検診方法です。横浜市など一部の自治体で導入されていますが残念ながら道内ではまだ検討段階です。当協会では検診センターを中心にオプション検査として受けることが可能です。子宮頸がんの95%はHPV感染が原因(好発年齢の20~50歳ではほぼ100%)であり、将来のがんリスクを含めた評価が可能です。
検診終了後の注意事項
子宮頸がん検診後は、少量の出血が2~3日程度、子宮体がん検査後は、月経のような出血が4~5日程度続く場合があります。出血が多い時は入浴を控えて、シャワーで済ませるようにしてください。出血の増量、腹痛や発熱が起こった場合は、早めにお近くの婦人科を受診するようにしてください。
結果
結果は郵送にてお知らせします。
精密検査
- 子宮頸がんに対しては、コルポスコピーを行い、病変を認めた場合に組織検査を行います。
- 必要に応じてHPV検査を保険診療として追加します。
- 子宮体がんに対しては、エコー検査/内膜組織診を行います。
- 卵巣・卵管病変(良性/悪性)に対しては、エコー検査を行います。
- 精密検査の結果で要治療(手術など)と診断した時は、専門医療機関を紹介しています。
- 全ての検査は専門医資格(日本産婦人科学会/日本婦人科腫瘍学会/日本臨床細胞学会)を有する常勤の医師が行っています。
検診上の注意とお願い
- 当日月経中でも検診は可能です。検査の前日から腟洗浄をしないでください。
- 子宮頸がん検査の他に、生理痛のひどい方、過多月経を含めた不正出血のある方、特に閉経後不正出血のある方には超音波検査の追加をおすすめします。
- 健康保険証又はマイナンバーカードもしくは資格確認書をご持参ください。